あなたは法務部の仕事に興味はありますか？
もし興味が有るとしたら、法務としての経験はありますか？
もしかしたら、「法務職は未経験だけど転職してみたいかも」「新卒で入れなかった法務部にチャレンジしたい」と思っているかもしれませんね。
そんなあなたに対して、現役の法務部員である筆者が「法務部への転職は未経験でもできるか」について、忌憚のない意見を述べてみます。
法務部への転職は未経験でもできる？
正直、未経験で法務部に転職することは難しいように思われます。
残念ですが、これが現実だと思います。
仮に、私が企業側の法務部の人間だとして、「今度、未経験者の人が中途採用でうちの部署に入るから」と言われたとしたら、「おいおい本気か？」と思います。
もちろん、企業によって「法務部」の役割や仕事は異なるでしょうし、「未経験者でも可」としている会社もあるかもしませんので、念のため補足しておきます。
未経験者が法務部に転職するのが難しい理由
ここからは、未経験者が法務部に転職するのが難しい理由を述べたいと思います。
理由としては、次のものが挙げられると思います。
- 中途採用は「即戦力」を求めている
- 法務の未経験者を育成するコスト
- 法務という職種は「人を選ぶ」
中途採用は「即戦力」を求めている
そもそも転職を受け入れる（中途採用する）というのは、「即戦力」の人材を求めて採用するわけです。
このため、未経験者の転職は厳しいです。
せめて、法務職で使えそうな何かしらの光る資格を持っていれば、まだ可能性があるかもしれませんが、そういった資格さえも無ければ、かなり可能性は低いです。
法務の未経験者を育成するコスト
未経験者を育成するコストもポイントです。
未経験者を採用するとなると、採用した後に指導・育成をしなければならないわけですが、法務の仕事をある程度マスターするのにメチャクチャ時間がかかります。
「時間がかかる」ということは、それだけ指導の労力が必要（指導者の人件費も必要）なわけであり、さらには、育成途中であっても、指導されている側の人件費も発生します。
つまり、未経験者を法務職として一人前に育てるためには非常にコストがかかるということです。
私の個人的な印象ですが、法務職の仕事をやるとなると、法律の勉強はもちろん必要ですし、ちょっとした契約をチェックするにしても、その「チェックするための感覚」を覚えるためには、数十件ぐらいは類似の契約チェックを行わないと身につかないと思います。
結果として、簡単な契約書（例えば、秘密保持契約書や、比較的短い売買基本契約書など）のチェックについてのコツをつかむまでに3年ぐらいは必要のように思われます。
さらに複雑な契約のチェックであったり、英文契約のチェックであったり、さらにはM&Aの契約のチェックなども習得するのであれば、もっと長い時間が必要でしょう。
しかも、法務の仕事は、上記のような契約チェックの対応のみならず、訴訟の対応などもあるので、マスターするべき業務内容はメチャクチャ多いです（マスターするのに更に時間がかかるわけです）。
法務という職種は「人を選ぶ」
法務という職種は、かなり「人を選ぶ」仕事です。
つまり、法務職の未経験者を採用して一生懸命指導したとしても、その人が法務に適性が無いということも十分ありえます。
そうすると、わざわざ未経験者を採用するのはリスキーですから、やっぱり経験者を採用するのが安全なわけです。
法務経験者は転職しやすい
少し余談ですが、逆に、法務経験者は「転職しやすいか」について考えてみると、転職しやすいと思います。
それなりに法務としての経験を積んでいる人であれば、法務職の適正は証明されているわけです。
また、そもそも日本社会において、法務職は不足しているように思われるので、かなり需要があると思うんですよね。
ちなみに、私は過去に転職活動をした経験がありますが、その時もひっきりなしにエージェントや企業から面接のお誘いをいただきました。
もしかしたら、日本語と英語の両方で契約チェックできる点が評価されていたのかもしれませんが、いずれにせよ、「法務の需要は凄い有るな」と思った記憶が有ります。
まとめ
法務部への転職は未経験でもできるかについて、述べてみました。
現役の法務部員として忌憚のない意見を言うと、「未経験者での転職は厳しい」というのが現実だと思いますが、もしどうしても転職したいのなら、転職サイト等で色々探してみても良いかもしれませんね。
もし、この記事があなたにとって少しでも役に立ったのなら幸いです。
[あわせて読みたい]
●法務の転職は難しいですか？現役の法務部員が考えてみました
●企業の法務部はエリートしかいない？現役の法務部員が解説！
●法務部の仕事に英語力は必要？現役の法務部員がお答えします
コメント